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Poem: 『緑の灯台』

 

夜が海にとばりを降ろそうとしている

 

波は音をたてて

 

燃えるように砕け散る

 

 

誰もいない港に

緑の光をはなつ灯台が

静かにたたずんでいる

 

暗がりにひしめく星たちが

水平線の果てから立ち上がり

世界を包みこもうとするときに

 

 

 

光を手にした二人が

浜辺で石を照らしている

 

波が

 

二人の音をかき消していく

 

 

 

ーまるで最初から

誰もいなかったみたいに

 

 

 

（青い夜には銀の月がほのあかるい）

 

 

 

夕暮れの光が遠い山たちの灯かりをあきらかにする

 

山並みは黒く、港町はきららかだ

 

 

街明かりがひとつひとつ

かげろうのようににゆらめき

火となって空に立ち昇るとき

 

 

 

墨を流したような空の中で

月が笑っている

 

そして緑の光をはなつ灯台が

夜に手をさしのべる

 

 

暗い空が海にみつめられて

炎に変わる

 

まるで砂浜に散らばった会側が

靴底に砕かれて

こまやかな砂に変わっていくみたいに

 

 

 

水平線のむこうで

 

夜にたたえられた炎が

 

私たちの姿を浮き上がらせる

 

 

そして

 

光を手にした二人が

浜辺で石を照らしている

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Text: Roy Taro